Quux Journal since 2018

自称個人投資家という早期退職無業者のブログ

裁定取引できないものか...

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取引所によってビットコインの価格が異なることはいまだに見られますね。とくに、韓国の取引所では暗号通貨の価格が一段高い状態が続いているみたい。裁定取引がしづらいからなのでしょうが、韓国のほうがほぼ常に高いのは何か理由がありそうです。暗号通貨を取引する人は、一般の人より (つまり実際の為替レートより) 自国通貨に対して不安を持っているとか、国内株の収益率が低いのに外国株に投資する誘引が低いとかでしょうか。

ところで裁定取引 (アービトラージ) というのは、100万円でビットコインが売買できる取引所Aと、110万円でビットコインが売買できる取引所Bに口座を開設して、Aに100万円入れて1BTCを買い、Bに送って110万で売り、銀行送金を経由して100万円をAに送れば最初にビットコインを買ったときの状態よりBの口座に10万円が増えている、みたいなおいしい話です。裁定が効くとは、リスクなく儲けられることです。これを繰り返せばBに20万、30万 … と積み上がっていきます。Bでビットコインを売った全額110万円をAに送れば 1.1BTCが買え、Bで121万円で売れるというように複利で効率よく儲けることもできるでしょう。

このため、Aでビットコインを買う人が多くなってAでのビットコイン価格が上がり、Bでビットコインを売る人が多くなってBでのビットコイン価格が下がって同じ価格になってしまうというのが普通です。

で、価格差が開いたままなになってしまうのはなぜかと言えば、ビットコインの送金手数料(マイナーへの支払い。BTC建て)と、円の送金手数料(銀行への支払い。円建て)の合計がビットコインの価格差を相殺してしまえば、この裁定取引をする人がいなくなってしまうからです。とくに日本の取引所と韓国の取引所のように法定通貨が違えば、日本円と韓国ウォンの為替手数料(あるいはスプレッド)もかかってしまいます。

ただ、上の例の手数料の多くは既存の金融機関に払う送金手数料です。ビットコインを他の取引所に送る手数料は今はかなり下がっていていますが、銀行の手数料はイヤだし、時間もかかりすぎる。たとえばビットコイン価格100万円というのは、暗号通貨と法定通貨の交換比率のことです。で、なんで法定通貨を銀行を通して送金しなくちゃいけないんだ、と。暗号通貨どうし(例えば、ビットコインとイサリアム) の交換比率に差がある取引所があれば互いに仮想通貨を送金しあって裁定取引すれば銀行なんか通さなくていいのです。

また、取引所の価格差というのはAの交換比率とBの交換比率の差のことですが、本当は差が大きいのがいいんじゃなくて、比が大きいのがいいんですけどね。つまり、2つの通貨 x と y、2つの取引所 A と B で、レート x/y(A) とレート x/y(B) の比が大きく、x と y の送金手数料が安いような x, y, A, B を求めるのが裁定取引の一般解ということでしょう。

あ、韓国の取引所は暗号通貨全般が法定通貨に対して高い (つまり、特定の暗号通貨が高いのではなく、暗号通貨取引所における法定通貨ウォンが相対的に安い) ようなので、銀行送金や為替手数料をすっ飛ばすことができたからと言ってカンタンに裁定取引できたりはしないみたいです。残念。

そんなことを思ったおっさんでした。

ビットコインの売買スプレッド、BTCと円の送金遅延によってレートが変動してしまうことも無視できない要因になることがあります。また、通貨の送金出金に関して、取引所が手数料を乗せている場合もあります。また別に、証拠金取引で得た仮想通貨はその取引所内のポジションであり取引所内で精算が必要で、そのまま他の取引所に送金することはできません。