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自称個人投資家という早期退職無業者のブログ

不言実行

あろうことか、今日とあるきっかけを得るまで「不言実行(ふげんじっこう)」という言葉を健忘症のように忘れていた。「有言実行の反対、なんだっけ?」状態である。

調べれば分かってもらえると思うが、「有言実行」は「不言実行」から派生した言葉である。つべこべ能書き垂れずにだまって実行する。昔は、寡黙な高倉健さんのようなイメージの人がよいとされる価値観だったからこそ、不言実行という言葉があったのである。

そんな風だから、「有言実行」という言葉と価値観が出てきたときはある種の斬新さを感じたものである。そもそも「有言」という言葉がなかった。もう30年も40年も前のことだから、今の人は「有言実行」の方しか知らないということも十分有り得る。50がらみのおっさんの私でさえ「不言実行」をど忘れしていたのだから。

有言実行のほうが今どきの価値観であることは間違いないだろうし、どちらにもそれぞれの良さがあると思うが、不言実行をある種否定するような新語だった「有言実行」のほうが優勢になったことに、言葉というものは変わっていくものだなという思いがある。

 ところで、最初に書いた「とあるきっかけ」であるが、人づてに聞いたところによるとベトナムでは目標を口にすると叶えられないというジンクスのようなものがあるようだ。ひょっとすると、ベトナムにはまだ昔の日本のような価値観が息づいているのかもしれない。